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2004新春講演会

平成16年1月8日に新春講演会を開催いたしました。


新春講演会録 1月8日(木)

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新春講演会 1月8日(木)
「大変革の日本経済 今をどう乗り越えるのか」

講 師
経済ジャーナリスト
?アルファイナンツ代表取締役 田嶋 智太郎


■2004年の景気予測は?

 2004年という年を迎え、どうでしょうか?みなさん。ここ数年になく明るく希望・期待に満ちあふれたそんな新年を迎えられたのではないでしょうか。
 昨年は平均株価が24.5%上昇しました。ご存じの通りです。では今年は・・・?専門家が様々な予測をしております。2004年度、過去に例をひもとけば「今年はイケるよっ」、「株価も高いよっ」と言っています。中には批判的か方もいらっしゃいます。今年、完全復活を果たす年となることは多々あります。

 これから景気がよくなっても困らないと言い切れますか?「おかしなこというヤツだなぁ」、と思われますが景気が良くなればなるほどどんどんおかしくなっていく地域、企業、個人のほうが実は多いんです。ご承知のこととは存じますが、分かりやすく言えば「2極化」です。で、良くなる地域、企業、個人は1/3程度でしょう。その1/3の地域、企業、個人はパワーアップ・シェアアップしていくその勢いに蹴飛ばされ、はねのけられ踏みつぶされ押し出されるのが残り2/3の地域、企業、個人です。

 特に企業にとって明日の景気回復をどう考えているのか、重要なことです。もちろん、地域にとっても野田市にとってもです。
 なぜ景気は明るくなり始めているのか?不況の元凶であった「デフレーション」。そのデフレを克服するメドが着くのではないかと見られ始めてきた。デフレの元凶は過剰設備・過剰雇用・過剰債務であります。過剰な設備の売却、リストラによる余剰人員の削減と処理が進んできました。生産能力指数というものが、ものの見事に低下し、今むしろ設備投資は盛んになりつつあります。雇用の問題につきましても規制緩和が後押しとなって「雇われ方・雇い方」が大きく変わっております。 雇用計数DIをみますと昨年の11月、5年数ヶ月ぶりに「人材は不足している」という数値となりました。2007年には日本の人口が減りはじめます。向こう100年で半分になる。そういう推計があります。韓国の人口が7,500万人。それと同等となると言われます。これから人出は過剰ではなくむしろ不足していくであろうと。勿論完全失業率は相変わらず高い。ミスマッチであり、除々に解消していくものでしょう。

 過剰設備・過剰雇用の問題はこの2年間で解決の方向に向かった。小泉政権が取った策は「なにもしない」でありました。政府があてにならないからこれは自分でなんとかしなアカン。それによって企業はリストラを執行した。結果スリムになった。収益が上がる体質を自ら手に入れた。
その間、ろくに財政政策をしない。減税処置もなし。構造改革が一気に進んだわけでもない。

■残る不慮債権問題の行方tajima2.jpg

 後、残るは過剰債務の問題。抱えた借金、これは銀行が貸したカネ、つまり貸し金。それがなかなか回収できない。その根元である不良債権の問題が解決の方向に向いてきた不良債権問題の解決の方法なんていうものは15年も前から分かっいたんです。じゃあなんですぐにやらなかったのか?失った10年と言われています。その10年間は必要だったから費やしてきたのであり、みんなの理解と了承を得た上できっちりと大きな批判もなく暴動もなく進めていくための10年だった。こう考えればいいのです。

 返せない企業、無い袖は振れない。どんなにがんばってもムリです。つまり当事者能力を持っていません。回収できない銀行、どうがんばっても不良債権問題は解決できません。銀行自体が解決できるハズがない。どうすればよいのか?
 企業がかたっぱしから潰れたら困るのは私達国民です。その大事な産業界でがんばる企業と、まさに心臓ポンプの役割を果たす大事な金融をつかさどる、金融機関をみんなで救うために立ち上がる。つまり国民みんなで払った血税を使って不良債権の穴埋めをし、バランスシートを整えてから再出発をきろうではないかと。これしか方法は元々ないのです。
 しかしながら、なんたって血税でありますから、血と汗と涙の結晶、いくばくかのカネから「どうぞ使って下さい」、「もっと良い国になりますように」と、払ったその税金。使い道を考えてほしいものだと・・・。

 不良債権問題が解決しないからなんとか景気を下支えしたいために、政府は結果的にそのときどきでカンフル注射(公的資金注入)を打ち、そのために必要な財源を国債発行で求め、なんと国と地方の借金合計残高はもはや「700兆円」を超えてきた。
 後がないんですねぇ、もうマッタなしなんですねぇ。放っておいたら財政破綻でこの国は2006年頃に破綻してしまう。今日そこそこ、豊かにそして幸せに新年を迎えこの場にみなさんお出でです。私も。

 りそなの問題を片づけてとっさにかかったのは金融庁、そして竹中さん。いわゆる大手銀行5グループと、主要な地方銀行10行に対し、合計15銀行に業務改善命令、1ヶ月以内に業務改善計画を立てて提出しろといいました。その中身のひとつが1収益力の向上、2向こう2年間で不良債権を半分にしなさい。3自己資本比率を高くしなさい。4中小企業向け融資を増やしなさい。その4つを盛り込んで提出しなさいと言いました。

・・・ムリです。できるハズがない・・・。なぜかって? これまで銀行は上げた利益のその大半、いやすべてをそれでも足りなければ他の資産まで使って不良債権処理に当ててきたんです。「不良債権を減らせ」、「半減しろ」と言っておいて「利益も上げろ」というのは無理なんです。不良債権を処理するならば利益はすべて不良債権に費やさなければなりません。

 利益を計上するのは簡単です。その分、不良債権処理は遅れます。自己資本比率を高めながら貸し出しを増やせって無理です。自己資本比率を高めるなら貸し出しを減らさなくてはなりません。自己資本比率を計算する分母は貸し出しなのですから。分子が増えなければ分母を減らすしかない。貸し出しを減らせばいくらでも自己資本比率を高められます。

 2004年3月期末において金融機関が提出した計画があまりに大幅な未達ならば銀行経営者のみなさんには責任を取って頂きますと。なおかつ当該金融機関には直ちに公的資金を投入します。ということをすでに政府は金融機関へ通達しています。
 世の中に流れる現金の量を「ベースマネー、マネタリーベース」と言われています。カネというのはばらまけばばらまくほど価値が下がっていきます。カネの価値が下がるということはばらまいた分だけ理論上の物価は上がっていかなくてはなりません。このばらまくことに意味があります。まして公定歩合を引き下げる方法ではなく、カネをばらまくという方法をとったのは、公定歩合は2を1にして1を0.5にして0.5を0.25にして0になったら金融緩和の余地はない。量的緩和はいくらでもできるんです。

 足りなければもっと、それでも足りなければもっとばらまけばいいんです。そして結果、もし物価が上がってくれば、「ハッ」と気づくのが我々消費者ですね。
 一日でも早くばらまいたカネの分だけ量だけ物価が上に向かわなくてはならない。どうしたらいいだろう?インフレにするのも物価を上げるのも我々消費者自身だからです。いついつまでに何%、予測するのは不可能です。じゃあ、もうちょっとこうアバウトにこれから5年、10年くらいの間に、上限3,4%程度のインフレってやつが、現象として表れてくるのでよろしく?、と国民にメッセージとして伝えたらどうかという話し合い。今も行われています。
毎月日銀の決定会合でいつやるかどのようにやるか話し合われています。そうしたらインフレになるでしょうか?難しいですね。

■円とドル・為替相場

 さて、今の日本円は経済の実力からして高すぎるようです。適正150円くらいか、いわゆる購買力平価からみれば175円50銭ってゆうのが適当だなという人もいます。仮にドル高、それはイコール人民元高、そして円安になればどれだけ日本の中小企業は助かるか。円安になればその分物価は上がり国内物価に跳ね返り、いやでも国内はインフレになり、人々は消費行動を盛んにする。残念ながらしばらくの間、期待薄と言わざるを得ないでしょう。
 今のドル高の要因はアメリカ経済の成長エンジンにもう一発、点火するそのためのきっかけがほしい。減税もやりました、効果は出ています。ご案内の通り、低金利政策も続けています。効果は出ています。

 昨年の米国の生長率は1.3%プラスです。第2四半期3.3%、第3四半期においてはなんと8.2%の成長率を上げているわけであります。でもまだなにか足りないんですね。誰が見たってブッシュは再選だと言われるくらいにまで、確たる成長軌道にアメリカ経済を乗せるためにはもうひとつインパクトがほしい。

 アメリカ経済の回復は日本経済の回復の前提、これは否定し得ないところがあり、ならば日本も協力しましょう。秩序あるドル安でいこう。これが日米、いやヨーロッパも含む、アジアも含む国際先進主要国のコンセンサスであります。その方向に為替は誘導されている。為替相場というのは各国

更新日:2004年01月08日 カテゴリー:セミナー・講習会のご案内, 経営に役立つ各種セミナー

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